2021/03/24
紙はエコ素材についてお話します。
当社では、書道半紙の製造に古紙を使っています。
紙は木材のチップをくだいて繊維を取り出し、その繊維をからめあわせて板状に仕上げますが、
全てがバージンパルプで作られているわけではありません。
昨今の印刷業界の不調、故紙の中国流出で今まで使っていた
学校関係のテスト用紙の印刷ミス故紙が手に入らなくなり、今は牛乳パック再生古紙が主な原料です。
牛乳パック再生でも、いろいろランクがあり書道半紙は墨で書いた時ナイロンが混入していると墨がのらないので
ナイロン部分が入らないよう区別されたものを使っています。
原料は、解きほぐして板状に圧縮されまだウェットの状態でほこりなどの異物が混入しないようビ
ニールをかぶせられて運ばれて来ます。
手に取るとこんな感じです。
乾燥させた他の原料もあります。
また、抄紙したロールから、平版に取り半紙に断裁した時に発生する切り落としも、原料に混ぜてもう一度再生されます。
良い半紙にはなりません。
長い繊維の間に短い繊維が絡まることで紙の目を混ませて、墨ののりをよくします。
絡まりが悪いと書いた後、墨液が乾燥する際に水分が飛ぶのと一緒にシワシワになるので展示した時、
見栄えが悪くなります。そんなことも考えながら、墨つきの良いシワシワにならない紙を目指して作っています。
また、書道会で競書に使われた紙も再生しています。
あんなに黒い墨がついていても・・・と思われるかもしれませんが、競書に使われる紙は、
高価な手漉き半紙が多く抄きあがった時には、色を我慢すれば光沢のある書きやすい紙に仕上がります。
こんな色です。墨の粒子の粗いものが残っていてグレーになります。
また、先日オバマ大統領が広島に訪問されたときに、ご自身でおられた折鶴のことも話題になりましたが、
広島原爆資料館に毎年たくさんの折鶴が全国から寄せられます。
広島県ではこの折鶴は全国から寄せられた善意の証しなのでごみとして処分するわけにもいかないし、
かといって保存しておくには大量すぎるのでストックに困っているのも現状です。
この折鶴ももとは紙なので再生することができます。
折鶴を再生した紙で包装紙やノートなどに利用できないかと検討中で、当社でも半紙を作ってみました。
拡大するとこのようになります。赤や青の色が分解しきれなくて残っていますが、
案外真っ白のものより味が出ます。
この半紙が、全国のかたに使われてまた広島に集められ平和書道展が開催されることを夢見ています。